弁護士俵のブログ/ Abogado TAWARA Cristóbal Kojiro

ラテンアメリカの音楽が超好き

もうすぐ2年目

気が付けば今月で、弁護士登録をしてから1年が経ちます。

多くの経験をさせていただきました。

中でも登録前から、また司法試験の受験生だったときから強く希望していた入管関係の事件を多く担当させていただいたことは非常に幸運だったと思います。

しかし現実はそう甘いものではなく、お金のことを強く意識した1年でした。

人権擁護を使命とする弁護士(弁護士法1条1項)は個人事業主でありビジネスマンなので、やはりお金のことを考えないといけません。

在留資格が危うい方や着の身着のままで日本に逃れてきた難民の方からはどうしてもお金をいただくことは難しく、たしかに日弁連からある程度の援助はいただけますが、決して十分とは言えません。しかしだからといって放っておくわけにはいきません。

どうにかマネタイズできないものかと考えた結果、通訳費用の出費を抑えることでお客さんの負担を減らすことができることがわかりました。

そこで、ひとまず入管法の説明やその他のやり取りを自分が英語・スペイン語でできるようにしようと考えました。

これを実践してみたところ、とりあえず退去強制手続と難民認定についてはひととおりできるようになりました(ポルトガル語は準備中)。

思わぬ副産物として、ある程度資力のある方からの在留資格のご相談についても英語やスペイン語で説明ができるようになりました。

なんならこれができる弁護士は日本でもあまり多くなく(第一線で活躍されるベテランの大先生方の足元にも及びませんが)しかし弁護士1年目でこれができる人は他にはなかなかいないであろう、たぶんそうだろうと思います。

そして、このスキルは渉外家事事件や一般民事事件にも転用できることがわかりました。

1年目で専門性の萌芽が少しだけ出せたことはとても良いことでした。

将来的には、外国出身の方を雇う中小企業さんを相手に、在留資格のお手伝いをしつつ、人権を守ることは何より大事なことであるからそれを企業の価値にしよう、ポジティブなメッセージを発していこうとアドバイスできるようになりたいと思うようになりました。

あるいは自分でそういう会社を作ってしまうのもありかもしれません。今考えているのはビリヤニ専門店です。

また、入管事件をやり続ける多くの先輩方に良くしていただき、とても刺激を受けました。

言ってしまえばなかなかお金にならない分野であるのに、どうしてそこまで頑張れるのだろうと不思議に思うこともありました。ましてやただの同業者同士であって、しかもお金にならないのだから、お付き合いをする金銭的なメリットもないはずです。

しかし、同じ目的を共有してそれに向かって一緒に突き進むことに利害関係はなく、ただただ一緒に頑張ろうと互いを励まし合える仲間の関係であることがわかりました。

弁護士は個人事業主でありビジネスマンではあるけれども、この局面では人権擁護を使命とすることが上回る、そういう関係性が作れる仕事であることがわかりました。

私はこの仕事に就いて良かったと思いました(日々の業務は大変ですが)。